株価は好調ですが業績も伸びているため、コロナ後の新しい水準であるPER30倍くらいは変わりません。なので、PERからは過熱感はないと思っています。まあ、成長込みの30倍なので成長が続かないとダメだとは思いますが。
2021年8月期業績
素晴らしい業績だったと言っていいでしょう。この規模で営業利益が前年比40%伸びるってすごいと思います。全体的に利益の伸びがすごいですが、中古再生ソーラー施設の買取販売を始めた再生可能エネルギーセグメントがいいですね。
再生可能エネルギー | 省エネ | 電力小売 | メンテナンス | |
売上 | 34,324(122%) | 2,214(112%) | 30,209(98%) | 1,495(113%) |
利益 | 4,877(143%) | 926(148%) | 2,762(133%) | 291(73%) |
再生可能エネルギー
新規開発 | 中古再販 | 自家消費/ウエストFIT | |
販売件数(件) | 10 | 31 | – |
販売容量(MW) | 34.4 | 31.4 | 61.69 |
売上(百万円) | 12,634 | 10,276 | 8,343 |
特段利益率が伸びた要因は記載がありませんが、気になる言葉としては「環境対応需要が増加」「屋根置き型は自家消費、野立てはウエストFITで受注状況は堅調」でしょうか。環境対応需要が増加というのは、今後増えてくるでしょうし新規開発、中古再販、自家製FITとその需要を全方位で取りにいける体制が整っていると思っています。
省エネ
省エネはいわゆるエスコ事業ですが2019年くらいから資産残高の増加は一服しており、現在の資産残高からの売上は今の数字がマックスのようです。今後の見通しを見ても、この事業は現状が続くくらいであまり伸ばす方針ではないようです。
電力小売
契約件数は順調に増えていますが、売上は増えていません。コロナにより1契約あたりの消費量が減っているためということです。契約件数は地方金融機関と提携して、その紹介から伸ばしているようで今後も伸びることが期待できます。コロナによる消費量の減少もこれ以上はないでしょうから、今後は契約件数が増えるごとに売上も増えることが期待できます。
自社売電も56ヶ所、58MWあるようで電力小売は今後も伸びていく事業として位置付けているようです。
メンテナンス
メンテナンスは、メガソーラーの再生で再販するときにメンテナンス付で販売するようで向こうが伸びるとこちらも伸びていくという関係のようです。
2021年第4四半期単独の業績
前年同期比で見ても素晴らしい業績でした。再生可能エネルギーは言うことはありません。電力小売については、コロナによる電力消費量の減少は第三四半期で止まったようで、第四四半期だけを見ると売上も前年同期比114%と復調しています。
2022年8月期業績予想
来期は再生可能エネルギー事業が伸びると言うことで売上が134%増となっています。メガソーラー再生、自家消費用に法人への販売、ウエストFITによる販売のいずれも大幅増の見込みで需要がすごいのでしょう。営業利益の伸びが物足りないのですが、再生可能エネルギー事業での利益率が下がる見込みなのでしょうか。事業部別の利益額の開示がないので不明です。利益を保守的に見ていて、上方修正があるといいのですが。
その他で売上がかなり上がる見込みになっているのですが説明がありません。どんな事業が気になります。
中期経営計画
3ヵ年の中期経営計画が発表されています。正直、再生可能エネルギー事業の急激な需要の高まりはいつまで続くのかと言う心配がありますが、会社はあと3年は続くしむしろ需要は伸びると考えているようです。再生可能エネルギー事業の一本足打法といってもいい事業内容のため、ここの伸びが落ちると一気に株価も下がると思っているのであと数年以内には売却も考えなければいけないと思っています。
それでは個別に見ていきましょう。
再生可能エネルギー事業
新規開発は現時点での確定物件のみのようなので、仮に新規があれば上振れとなるようです。中古再販も2023年度は上昇ラインをなだらかにするための数値合わせに見えるので、ここも上振れするのではないでしょうか。市場規模としても10,721ヶ所で52,882MWのうち、年間で100MWくらいを取り扱う計画なので0.2%に過ぎません。
自家消費用は、全国の金融機関と提携して各行の取引先を紹介してもらうやり方のようです。重点銀行のメイン取引先が592,000社あるようで、戦略としては固いように思えます。
ウエストFITはかなり強気な数値に見えますが、代行店を増やしていく戦略のようです。フランチャイズ化のようなものでしょうか?計画上は1MWあたりの売上は直接も代行も80百万円と変わらないので、仕組みが見えません。
省エネ
従来のエスコ事業は成長が止まる見込みですが、次の施策として面白い事業を二つ考えているようです。冷凍・冷蔵設備温度管理システム事業はよくわからないのですが、PPA事業は面白いと思います。PPAは、Power Purchase Agreement(電力販売契約)といって、ウエストが電力設備を顧客のために設置し電気を顧客に販売する契約です。エスコ事業と相性が良くアメリカでは、エスコ事業+PPAというのはセットで事業を行なっている会社がほとんどです。顧客は、初期費用なし+月々の電力負担は今までと同額で、グリーンエネルギーを導入できるということで、日本ではあまり普及していないようですが、これから採用する企業は増えてくると思います。PPAの伸びはあまり見込んでいないようですが、面白いと思っています。
電力小売
数値計画を見ると、普通の電力小売は6%くらいの成長を見込んでいるようです。それよりも成長ドライバーなのがウエストグリーンパワーによる小売です。これは、再生可能エネルギー由来の電力の小売でウエストFITを設置した顧客から買い取った電力の販売事業のようです。確かに、続々と使用電力を100%再生可能エネルギーとする企業が増えておりニーズは高まっていると思います。一方で、小売ができる再生可能エネルギーの供給があまりなかったようで、自社で開発した再生可能エネルギー由来の電力を販売するということで、とてもいいビジネスモデルだと思います。
自社売電については、継続して自社保有太陽光発電を開発しているようで、2022年にFIT36円で60MWが稼働します。現在が58MWなので一気に2倍になるようで、2023年度から倍の売上を見込んでいます。
メンテナンス
メガソーラー再生購入物件のメンテナンス受注で増やしていく計画で、これもうまい戦略だと思います。
全体
ウエストHDの事業内容は、それぞれが連動しています。そこら辺をまとめてみたいと思います。
メイン事業である再生可能エネルギー事業は、①新規開発、②メガソーラーの中古再販、③自家消費用、④ウエストFITの4つに分かれます。ここから別の事業領域に派生していくのですが順番に見ていきましょう。
①新規開発、②メガソーラーの中古再販:メンテナンス事業につながっていきます。新規開発はもちろんのこと、中古再販に際してメンテナンスの切り替えを促しています。
④ウエストFIT:再生可能エネルギー由来電力の小売のウエストグリーンパワーに繋がります。
地方金融機関・JAとの提携:③自家消費用の顧客の紹介、④ウエストFITの開発用地の紹介と顧客の紹介、省エネ事業の顧客の紹介
メガソーラーの再生は、いつまでビジネスとして成り立つのかわからないのですが、自家消費用とウエストFITはもう少し息の長い成長が見込めるような気がします。
コメント