3768 リスクモンスター2021年度3月期決算レビュー

個別銘柄分析

2022年度業績見込の失望売りで株価が下がりましたが、業績見込自体は2021年度と同値なのでPERがずいぶん下がりました。1,000円以下はお買い得だと思います。

2021年3月期業績

全体の数値は素晴らしいの一言です。セグメントごとに見ても、中核事業の与信管理サービスは緩やかな伸び、コロナ下ということでeラーニングの教育関連、BPOサービスであるその他ビジネスがかなり成長したという感じです。

2021年第4四半期単独の業績

以外と四半期ごとのブレが大きいです。売上は変わらないのですが、営業利益のブラが大きいです。第2四半期が一番営業利益率が高く、第4四半期が一番利益率が低いというのは毎年のことでいいのですが、昨年比で営業利益率が下がっているのが気になります。ただ、売上は順調に増えていますし、プロジェクトベースではないのでコントロールできない原価はないはずです。自社内でのコスト計上の考え方次第なので、売上が伸びている限りは大丈夫だと思っています。

2022年3月期業績予想

これが原因で株価が暴落したわけですが、売上も利益もゼロ成長っていうのはどこまでリアルなのでしょうか。だいぶコンサバだと思うのですが。一過性のものはBPOサービスではありそうですが、BPOサービスが半分になったとしても他でカバーできそうな気もします。また、BPOサービスは反社チェックで大型スポットがあったということですが、この反社チェックというニーズは中小企業のコンプライアンスの重要性の認識(大企業がますますコンプライアンス重視になり、取引ができなくなる)から今後も増えてくるのではないかと思います。会社の決算説明資料にも、以下のようにあります。むしろ、追い風なんじゃないでしょうか。

・テレワークの普及等に伴い、企業内の業務フローの見直しによる紙媒体のデータ化やアウトソーシング需要は高まっており、今後も継続的に提案してまいります。
・ グループ連携を強化し、2021年3月期の大型スポット案件の代替となるよう、好調な反社チェックサービス等を積極的に展開してまいります。

決算説明資料

前期で好調であった教育関連も確かにコロナでeラーニングに切り替わったという特需はあったかもしれませんが、特に社内教育はeラーニングが普及したら元に戻すことはないと思います。eラーニングでも十分なんだと気がつくのが大きなステップで、あとは普及が進んでいくだけではないでしょうか。eラーニングは素材を1回作れば、それを何度も活用できるわけで利益率が非常に高くなっています。また、リスクとして景気悪化によるコスト削減により社員教育意欲が低下するというのが挙げられていますが、昨今、社員教育を真っ先にコスト削減対象にする会社は早々ないと思います。

与信管理サービスは中小企業の非専門業務アウトソーシングニーズは衰えることはないでしょうし、ビジネスポータルは在宅ワークが進む中でますますニーズは高まります。決算説明資料から気になる表現を取り上げます。

・与信管理サービス
より明確でわかりやすい判断指標による取引先モニタリングの需要や、テレワークの普及により、直接、接することができないお客様の取引先に関する反社チェックの重要性もますます高まっております。当社独自データベースを活用したサービスの拡充、DX化支援サービス強化、テレワークの普及など急速な社会情勢の変化に即した与信管理ルールの見直しや、ワークフローとの連携を提案していきます。

・ビジネスポータル
テレワークの普及等により、社内の情報共有ツールとしてのニーズが高まり、登録ユーザー数の増加やディスク容量の超過料及びオプションサービスの利用料の増加が期待されます。

あまり死角はないように思うのですが、コロナ特需の反動がどのように出てくるかわからないための保守的見込なような気がしてなりません。1Q決算あたりで引き続き好調なことが確認できれば、株価はすぐに跳ねる気がします。むしろ、ここまで下がったので、仮に業績見込通りの成長なしだったとしても、そんなに下がらないのではと思います。そういう意味で、ダウンサイドは限定的でアップサイドが大きい株価になったのではと思っています。

コメント