9639 三協フロンテア2022年度3月期第2四半期決算レビュー

個別銘柄分析

2022年3月期第2四半期業績

とても好調な数値です。三協フロンテアも、別途記事にしたイーガーディアンと同様、一般管理費が伸びる以上に売上高が伸びるため営業利益率が毎期改善しています。イーガーディアンは事業の性質上、売上の拡大に一般管理費の増大が必要ない面がありますが、三協フロンテアは異なります。その中で、毎期、営業利益率を改善しているのはすごいの一言です。第2四半期だけをみてみると、営業利益率は前年16.9%に対して今年は20.7%となりました。

次からは事業別にみていきたいと思います。実は、三協フロンテアは、仮設レンタル・仮設販売・本設レンタル・本設販売という事業セグメントでしたが、その内容がよくわかりませんでした。今回、それがよくわかるようになっていたため、事業内容も併せて見ていきたいと思います。なお、事業セグメント別をざっと見てみると、本設レンタルと本設販売が絶好調でした。これはそれぞれ一過性要因と、恒常的要因があると思われるので、別にみていきたいと思っています。

仮設レンタル

仮設レンタルは、主にゼネコン相手に建設現場で使うプレハブハウスをレンタルする事業です。建設現場で使うプレハブハウスレンタルは、三協フロンテアの他はナガワ、日成ビルド工業ぐらいで、完全な成熟産業で寡占化されています。そのため、ほぼ建設投資と連動する業績推移となります。建設投資自体は、民主党政権時代の2009年から2012年に42兆円くらいに極端に減らされた後は、徐々に回復して昨今は60兆円前後で推移しています。インフラの更新需要や災害復旧需要など削れない建設投資などを考えると、今後もこのレベルを維持していくと考えられ、三協フロンテアの仮設レンタルについても安定した業績が見込めると思っています。

本設レンタル

このセグメントは、仮設病棟やイベント施設など、長期の利用を目的としないけど外観や内装にそれなりに凝っている建物だと理解しています。本設レンタルは、コロナ以降急激に伸びており、2021年度上期が前年比185%、2022年度上期が前年比197%と倍々で伸びており、コロナ前の2019年度は売上に占める割合は3.8%でしたが、2022年度見込みは9.3%まで上昇しています。

これはもちろん、コロナによるもので2021年度は病床の増床需要、2022年度はワクチン会場需要だと考えられます。そのため、この伸びが続くとは思えませんが、コロナが落ち着いてきた後はイベントなどの需要が増えてくるはずで、何とか同じくらいの数値が保てるといいと考えています。

仮設販売・本設販売

これまで仮設販売は、ゼネコンの建設現場の仮設レンタルにオプションとして加わる付属施設の販売だと思っていましたが、今回の決算説明資料を読んでみると、ミニハウスなど小規模な建物で恒常的に使う建物の販売も含まれていることがわかりました。この使用例を見る限りでは、小規模事業者の利用が主だと考えられ、コロナ後のテイクアウト用販売所などの需要とうまくマッチしているように思えます。

本設販売と合わせた、問合せ数はコロナ後も伸び続けており、こちらは世の中のトレンドが後押しをしているように思えます。特に、①短工期、②デザイン性、③増設、減少が可能、④移設が可能というのは、事業の変化にも対応しやすく、それでいて普通の建物のようなデザインで居住性の追求が可能ということで今後も伸びていくと考えています。

特に本設販売の売上比率は、2019年度が18.9%に対して2022年度は22.9%となっており今後も上昇していくことが見込まれます。本設販売は、レンタルと異なり売り切り型ではあるものの、事務所の拡張や移動の際にはビジネスチャンスが生まれるはずであり、既存顧客の増加は次のビジネスチャンスに繋がりやすいとと思われます。顧客側に選択肢が多くない以上は、既存顧客のの増加は見込み顧客が増大と同じであり、ストック的な要素もあると考えています。

2022年3月期業績見込み

業績予想は好調なので問題ないのですが、1Q、2Qと連続して小幅な上方修正がありました。株主の立場からすると、小幅な上方修正を複数回やるより1回で大幅な上方修正をやってくれた方が、株価へのインパクトがありいいと思うのですが。何にせよ、売上はほぼ変わらないものの、営業利益は当初計画から9.6%の上昇となりました。昨年比でみると売上7.9%、営業利益14.7%の増収増益です。

営業利益率をみても、2021年度16.4%に対して2022年度17.5%と素晴らしい上昇です。ただ、上期・下期で見てみると、2021年度上期16.4%、下期16.5%、2022年度上期20.7%、下期見込み14.4%と、下期見込みが極端に低くなっています。これは、決算説明資料での粗利の説明で下期が40.7%に落ち込むことが原因のようですが、粗利がいきなり落ち込む理由がわかりません。設備投資計画を見てみると、営業と生産・物流への投資を増やす計画ですが、粗利に計上される性質ではないはずです。資産計上で減価償却費の増加か、一般管理費の増加につながるならわかります。ということで、この下期の低い営業利益の数値は、同社の保守的予想が原因ではないかと思っており、もしかしたら大幅な上方修正が期待できるのではないかと、秘かに思っています。

なお、営業への投資の増加は、今後増える仮設販売と本設販売の需要をさらに取り込むための各地での総合展示場の開設だと思われ、実際に製品を体験できる場を作るということで是非積極的に進めてほしいと思っています。

11/25のカンブリア宮殿でオフィス家具のオカムラが取り上げられており、アフターコロナでオフィス面積が減少する中でもオフィスへ求める役割の変化を捉えビジネスチャンスにつなげることで、業績も絶好調であるとありました。その時の社長の言葉が、変化はチャンスということでまさにその通りと思います。三協フロンテアの本設販売も、本質的には同じトレンドの中にあるものだと考えており、今後も楽しみな事業だと思っています。

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