海外居住者がFIRE/退職した際の帰国後の失業保険・住民税・国民健康保険・国民年金

FIRE

日本で働いている人の退職後の社会保険関係の手続きはたくさん情報がありますが、海外で働いていて退職し日本に帰国する場合の情報はあまりなかったので、まとめてみることにしました。

失業保険

給付条件
  1. 雇用保険に加入していること
  2. 雇用保険に加入していた期間が、退職前の2年間で12ヶ月以上あること (1ヶ月とみなされるのは、働いた日数が11日以上ある月となる)
  3. 失業の状態であること (働く意志や能力があるにも関わらず、就職できない状態のこと)
失業保険がもらえる場合

日本企業の海外駐在で働き、日本での給与も発生している場合は、雇用保険にも入っており日本での給与も発生しているので受給資格が発生します。一方で、海外の企業で働いている場合は日本企業だけれども出向や現地採用で完全に現地の雇用体系で働いている場合は、日本での失業保険給付資格はありません。

失業保険金額の計算

失業保険の給付額は、退職6カ月前の給与総額÷180×給付率(50%~80%)で計算されます。給付率の決め方がよくわからないので、計算サイトを使ってみます。

海外給与と日本給与をもらっている場合は、日本給与は日本での社会保険料を支払えるくらいという人も多いと思います。その場合は、月額13万円(総額78万円)くらいとして、退職時の年齢が35歳~45歳の場合は、3,466円とでました。ちなみに、日本で働いているとして月額60万円(総額360万円)とすると、7,605円(上限)でした。
給付期間は、勤続年数20年以上であれば150日、10年以上20年未満で120日となります。

支給総額は、月13万円だと415,920円(120日)、月60万円だと912,600円(120日)と倍以上ちがいます。

住民税

適用要件
  1. 住民税とは、地方公共団体の住民であることに対して課税される税金。
  2. 1月1日時点の住所地で、その自治体から課税される。
  3. 住民税は、前の年の1年間の所得に対して課税される。
12月に退職して12月31日に帰国した場合

この場合、翌年1月1日に住んでいる自治体に前年の日本払い給与を基準として住民税を納めることになります。ただし、前年の日本払いの給与といっても少ないでしょうから、基礎控除などを考えると実際は住民税非課税となるかもしれません。

12月に退職して1月2日に帰国した場合

帰国の年は住民税は払う必要がありません。また、翌年も前年に給与をもらっていないので、その他に収入がない前提ですが、住民税は発生しません。

国民健康保険

国民健康保険料は、所得割額、均等割額、平等割額の三つに分かれています。このうち、所得割額は前年度の総所得額を基に計算されるのですが、総所得額は給与額面-給与所得控除-33万円となり、日本払い給与のみの場合はほとんど関係ないかもしれません。

しかも、以下の減免制度があります。

  • 前年度所得が33万円以下・・・7割
  • 前年度所得が33万円+(28万5千円×加入者数)以下・・・ 5割
  • 前年度所得が33万円+(52万円×加入者数)・・・2割

退職年及び退職翌年であっても、日本払い給与だけであれば7割減免があるかもしれませんし、5割減免は固いでしょう。しかも、総所得額も低いためほとんど払う必要はないはずです。よく保険料を考えて、会社の健康保険組合の任意継続被保険者制度を使っていますが、海外からの退職者については最初から国民健康保険でいいと思います。

国民年金

国民年金保険料は、1カ月16,540円/人と定額です。ですので、退職後帰国し住民票を入れたらその月から支払いの必要があります。

ただし、減免制度があり前年所得が判定基準になります。全額免除の基準が、(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円なので、前年所得が日本払い給与のみであれば、最初の年から全額免除とすることもできそうです。

全額免除にした場合は、将来受け取れる年金額も減るのでそれは理解しておきましょう。

まとめ

全体を見てみると失業給付は下がるけれど、住民税が発生しない、国民健康保険は退職年から7割か5割減が適用、国民年金も退職年から全額免除の可能性ありと、金銭面的にはお得な気がします。ただし、失業給付以外の前年所得には月給だけでなく賞与も含まれるため、円で賞与を貰っている場合は、前年所得が意外に多くなる上、失業給付金の計算に賞与は含まれないため損となります。

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