FIRE後の住居を検討するにあたって、まずは賃貸VS購入をこの記事でしてみました。その時に、購入時に支払う頭金と諸費用を運用すれば、賃貸の方がお得なはずだという結論を書きました。
ですが、よく考えてみると、購入であれば月々の支払いは賃貸より軽くなります。ではその差額を運用に回さないと条件として間違っていることに気がつきました。ということで、前の記事の後半部分を再度検証します。
運用収益(頭金・諸費用、家賃と住宅ローンの差額)
頭金・諸費用の場合
頭金300万、諸費用240万円の合計540万円を投資して、以下の条件で運用した場合。
- 株式投資:配当利回り3%の株に配当再投資かつ増配3%、税率10%
- トラリピ:利回り10%で複利運用、税率10%
| 10年間 | 20年間 |
株式投資 | 205万 | 604万 |
トラリピ | 738万 | 2,486万 |
株式投資の場合は、これに当てはまる銘柄を10年間、20年間に渡って見つけるのは現実的にはどうなのかなと思います。条件としては無理ではないと思いますが。ということで、ここは複利運用もしやすいトラリピで考えたいと思います。
家賃と住宅ローンの差額を運用した場合
- 賃貸の場合:合計150,000円
家賃15万円 - 購入の場合:合計124,145円
住宅ローン79,145円、修繕管理費3万円、火災保険料・固定資産税18万円/年(1.5万/月)
ということで、32,105円/月(385,260円/年)を1年毎の複利でトラリピで運用した場合は以下の通りです。
| 10年間 | 20年間 |
トラリピ | 253万 | 1,378万 |
運用収益も加味した比較結果
購入物件の売却を前提とした総費用
購入(10年) | 購入(20年) | 賃貸(10年) | 賃貸(20年) | ||
頭金 | 300万 | 300万 | 家賃 | 1,800万 | 3,600万 |
購入時諸費用 | 240万 | 240万 | |||
住宅ローン | 953万 | 1,899万 | |||
修繕費+管理費 | 360万 | 720万 | |||
固定資産税 | 150万 | 300万 | |||
保険 | 30万 | 60万 | |||
売却時手残り | ▲457万 | ▲700万 | |||
売却時諸費用 | 88万 | 70万 | |||
合計 | 1,664万 | 2,889万 | 合計 | 1,800万 | 3,600万 |
運用収益 | ▲253万 | ▲1,378万 | 運用収益 | ▲738万 | ▲2,486万 |
総合計 | 1,411万 | 1,511万 | 総合計 | 1,062万 | 1,114万 |
この資産は、10年後、20年後に所有物件を売却したとしての総費用なので、住み続ける場合の現実には即していません。ただ、物件の資産も加味するとこういうシュミレーションが必要になります。
10年後はローン残債2,043万円に対して2,500万円で売却、20年後はローン残債1,300万円に対して2,000万円で売却という前提です。物件価格は3,000万円なので、妥当か少し強気の売却価格だと思います。
結果として、10年後、20年後でも賃貸の方がお得ということになります。
キャッシュフロー的見方
とはいっても、実際に売却しない場合は手元現金という意味では、上記とは異なります。キャッシュフローとしてはどうなるかというとこうなります。
購入(10年) | 購入(20年) | 賃貸(10年) | 賃貸(20年) | ||
頭金 | 300万 | 300万 | 家賃 | 1,800万 | 3,600万 |
購入時諸費用 | 240万 | 240万 | |||
住宅ローン | 953万 | 1,899万 | |||
修繕費+管理費 | 360万 | 720万 | |||
固定資産税 | 150万 | 300万 | |||
保険 | 30万 | 60万 | |||
合計 | 2,033万 | 3,519万 | 合計 | 1,800万 | 3,600万 |
運用収益 | ▲253万 | ▲1,378万 | 運用収益 | ▲738万 | ▲2,486万 |
総合計 | 1,780万 (14.8万/月) | 2,141万 (8.9万/月) | 総合計 | 1,062万 (8.9万/月) | 1,114万 (4.6万/月) |
キャッシュフローとしては圧倒的に賃貸が有利です。月の支払額に大きな違いがないことから、購入の場合で差額を投資に回したとしても大きな運用収益が見込めないことが原因です。この差は30年度も縮まらず、開いています。
10年 | 20年 | 30年 | |
頭金・諸費用(最初だけ540万円) | 738万 | 2,486万 | 6,625万 |
家賃と住宅ローン差額(39万/年) | 253万 | 1,378万 | 4,568万 |
結論
差額を運用したとしても、賃貸がお得という結果に変わりはありませんでした。マンション購入では、購入時と売却時の諸経費や月々の管理費・修繕積立金、固定資産税・火災保険などの支払いがマンション価格の他に発生します。これらの費用の負担が大きく、賃貸に劣後するという結果になっています。
仮に運用収益がなかったとしても、キャッシュフローで見ると10年間で購入2,033万円、賃貸1,800万円、20年間で購入3,519万円、賃貸3,600万円と購入も同じくらいか多いだけの現金支出が必要です。購入の場合はマンションが資産として残ると言われますが、残債は10年目で2,043万円、20年目で1,300万円が残ります。このマンションは築25年くらいの想定なので、築25年3,000万円で買った中古マンションが築35年、築45年でどの程度で売れるのでしょうか。このシュミレーション上は、築35年で2,500万円、築40年で2,000万円と置いていますが、かなり楽観的だと思います。
さらに、購入の場合は室内の設備機器の故障は念頭に置いていませんし、リフォーム代も計算に入れていません。これらが加算された場合は、さらに収支を圧迫します。一方で、賃貸は月15万円の予算であれば、築年数の浅い分譲賃貸を借りることができ、さらに10年後には築年数の浅いところに住み替えも可能な上、設備機器の交渉などは大家負担です。
これらを考えると金銭的には、賃貸を選ぶべきだと考えています。
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