トラリピをするときのリスク管理として一番重要なのは、どこまで下がったらいくらの必要証拠金が必要になるのかというリスク認識だと思っています。ですが、マネースクエアのHPなどで提供されている計算ツールは単独の通貨の計算で合って、複数の通貨を同時に運用しているときの合計必要金額を計算することができません。さらに、計算結果として出るのは設定レンジの中での最大必要証拠金です。
例えば、ドル円で買い75円-105円、売り105.1円-135円としたときに、90円まで下がったらどの程度の必要証拠金がいるのかはわかりません。
ということで、エクセルで作ってみました。複数の通貨運用時に、それぞれの通貨のレートを任意に設定できて、そのレートでの必要証拠金を計算できるエクセルです。
運用する複数通貨について
運用する複数通貨の種類と設定は、鈴さんの設定を参考にアレンジしています。唯一変えているのは、AUD/NZDのレンジで、1.051~1.150の間は売りも買いも両方でトラリピを行う設定となっています。これは、AUD/NZDはその性質上、この狭いレンジに収まることが多いためで、そもそもの全体のレンジが狭いためリスクも限定的です。

リーマンショック時の必要証拠金について
リーマンショック時といっても、各通貨ごとに底を付けた日というのは微妙に違います。そこで、今回は、仮にリーマンショックの期間の底が同時に来た場合と、一番底をつける通貨が多かった2008/10/24の安値の二つを計算してみたいと思います。
リーマンショック期間の底が同時に来た場合
それぞれの通貨で違いますが、概ね2008年10月に底をつけています。上記の設定では、18,676,271円の証拠金が必要だったことがわかります。計算上は20,000,000円あれば足りますが、実際は25,000,000円くらい入れないとこの瞬間はかなりギリギリで落ち着いていられないと思いました。
日付 | 底値 | |
USD/JPY | 12/17 | 87.122 |
EUR/JPY | 10/24 | 113.8 |
CAD/JPY | 10/24 | 70.98 |
AUD/JPY | 10/24 | 54.923 |
NZD/JPY | 2/2 | 44.225 |
AUD/USD | 10/27 | 0.6006 |
AUD/NZD | 10/10 | 1.0617 |
NZD/USD | 11/20 | 0.5188 |

2008年10月24日の安値が同時に来た場合
この場合の必要証拠金は、16,056,129円となります。若干少なくなっており、これなら20,000,000円あれば何とかなるのではと思います。
10/24 | |
USD/JPY | 90.891 |
EUR/JPY | 113.8 |
CAD/JPY | 70.98 |
AUD/JPY | 54.923 |
NZD/JPY | 50.068 |
AUD/USD | 0.6045 |
AUD/NZD | 1.0846 |
NZD/USD | 0.549 |

コロナショック時の必要証拠金について
コロナショック時についても同様にその期間の安値が同時に来た場合と、一番安値が多かった日を見てみたいと思います。
コロナショック時の安値が同時に来た場合
それぞれの通貨の安値の日付を記録を取るのを忘れてしまったのですが、概ね3/9か3/19だったと思います。結果としては、13,397,686円となりました。リーマンショックよりましですが、15,000,000円だと不安になるので、20,000,000円くらいは入れておきたいところです。
底値 | |
USD/JPY | 101.18 |
EUR/JPY | 116.119 |
CAD/JPY | 73.84 |
AUD/JPY | 59.869 |
NZD/JPY | 59.502 |
AUD/USD | 0.55063 |
AUD/NZD | 0.99906 |
NZD/USD | 0.54691 |

2020年3月19日の安値が同時に来た場合
コロナショック時に最も安値を付けた通貨が多かった日は3/19でした。これを境に急回復していきます。そして、必要証拠金は13,046,579円と上記の結果とあまり変わりません。
3/19 | |
USD/JPY | 107.843 |
EUR/JPY | 117.406 |
CAD/JPY | 74.206 |
AUD/JPY | 59.869 |
NZD/JPY | 59.502 |
AUD/USD | 0.55063 |
AUD/NZD | 1.00195 |
NZD/USD | 0.56947 |

このエクセルの使い方
このエクセルは、想定レートの列を変えることで、通貨ごとに異なるレートの必要証拠金をまとめて計算できます。また、取引単位を通貨ごとに変えることで、例えばボラの低いAUD/NZDだけ通貨単位を増やすというシュミレーションも可能です。さらに、トラップ幅も通貨ごとに変えれるため、通貨ごとのボラに応じて変えることができます。
ということで、通貨単位とトラップ幅を、それぞれの通貨ごとのボラに応じて変えることで、さらに最適化ができるのではと思っています。今考えているのは、必要証拠金額が同じくらい増えるAUD/JPYとCAD/JPYのポジション量を減らすことと、リーマンショックでも必要証拠金額が少なかったAUD/NZDのポジション量を増やすことです。
数少ない読者ですが、もし何かシュミレーションのリクエストがあったらやってみたいと思いますので、コメントかメール頂ければと思います。
コメント
非常に参考になりました!
エクセルシートの公開はさすがに無理ですかね?
ありがとうございます。エクセルシートの公開ですが、ちょっと検討して公開できるようならブログで公開します。お待ちいただければと。
ありがとうございます!
期待しております^^