4169 エネチェンジ銘柄分析(新規購入)

個別銘柄分析

予定枚数を買えていないのですが、長期投資のつもりで4169 ENECHENGEを購入したので銘柄分析をしておきたいと思います。ただし、2020年12月にIPOしたばかりの会社で、いつも行っている売上・利益の成長度合いやバリュエーション分析などはできないので、何に期待して購入したのかという点を中心に分析していきたいと思います。

エネルギーテックとして脱炭素化の大きな流れ

まずは世の中の潮流としての脱炭素化を利益にできる企業という点での期待です。脱炭素としての再エネ市場、そして電力市場自体が長期的に成長していくことが見込まれています。市場自体が成長するということは、競合とシェア争いをしなくても事業を伸ばしていけるということで、最も大切なポイントだと思っています。

  • 再エネの国策としての推進:2019年は再エネは全体の19%、2030年見通しは38%
  • 都市ガス・LPガス市場、ガソリン市場の電化による電力市場自体の成長:2020年13兆円が2050年18兆円
  • エネルギーテックとしてエネルギー業界全体にリーチできる。

事業計画に説得力がある

エネルギーの4D(自由化、デジタル化、脱炭素化、分散化)に特化し、国の規制緩和に従ってサービスを提供していくという形で、長期の事業計画に説得力があります。特に、国の規制緩和を見据えてサービスを作りこみ、規制緩和と同時に市場を取りに行くというのは非常に素晴らしいと思います。

エネルギープラットフォーム事業

エネルギープラットフォーム事業の収益源は二つあり、①エネチェンジ経由で電力を切り替えた顧客の毎月の電力使用量に応じた売上、②電力切り替え時の一時報酬があります。現時点では②の一時報酬の割合が高いのですが、継続収入として①を増やしていくことで業績の安定につながります。

そのため、この事業を伸ばしていくためのポイントはいかにして顧客を獲得するかにかかっています。

現時点では顧客獲得のチャネルは2つあり、自社ウェブサイト、パートナー会社となります。自社ウェブサイト用としては、検索サイト対策があり最重要キーワード41件の検索結果1位表示率は34%をになり、システム提供をしている2位のカカクコムをあわせると50%近くをキープしています。また、パートナー会社については、不動産会社(個人客用)、金融機関・税理士(法人客用)との提携を増やすことで2年で350社に増えています。

これらの結果として、新電力の利用者におけるエネチェンジのシェアは、法人向け1.8%、家庭向け1.4%とこの2年間で順調に増加しています。そもそも、新電力のシェア自体が増え続けており、しばらくは市場拡大+シェア拡大のダブルの成長ドライバーがあるのではと思っています。

エネルギーデータ事業

現在の提供サービス

データ事業は、現在はEMAP(Energy Marketing Acceleration Platform)とSMAP(Smart Meter Analytics Platform)という2つが柱となっています。EMAPは簡単に言うと各電力会社のHPの運営代行として電気・ガス料金診断や電気・ガス申込の仕組みを提供しています。SMAPはスマートメーターから得られたデータの分析ソフトやデマンドレスポンスシステムとなっており、これから力を入れていくべきサービスです。

今期の提供サービス

その他にも今後の規制緩和を見越して新サービスを次々と発表しています。これらは、主に2022年春の「電力データ自由化」による電力データ活用新規サービスと2021年から2024年までに段階的に整備される需給調整市場のためのVPP(仮想発電所)市場への参入のためのサービスとなっています。

このように市場自由化にあわせた次の手を矢継ぎ早に展開しており、IPO間もない会社として数値面の見込みが立てにくい中で、今後の成長可能性に期待が持てます。

さらに、データ事業は先行している欧米のサービスを参考にしており、どのようなサービスが市場で好まれているのかということをみながら開発しているということで、市場ニーズにあわないサービスを展開するリスクも考えていると感じています。

長期的な数値目標

【EPSの計算に間違いがあり修正しました。修正後だとそんなに魅力的じゃなくなってしまいますね。。。】

長期的な数値目標として、2027年12月期に売上高100億円を目標としています。営業利益率30%、税率35%として考えると、当期純利益19.5億円でEPS164円くらいになります。これを前提とすると、PER30倍で4,920円となり現在の2,000円前後から2.5倍程度は狙えることになります。

まあ、ここまで成長していたらPERはもう少し高く評価されてもいいと思っていまして、PER50倍とすると8,200円なので4倍程度は狙えるのではと思っています。

コメント

  1. ヤスイノ より:

    こんにちは。ヤスイノと申します。詳細な分析記事、大変参考になります。

    質問なのですが、当期利益19.5億円でEPS455円とありますが、どような計算をされているか教えていただけるとありがたいです。

    8月時点で発行株数は1190万株だったと思うので、19.5億円÷1190万≒EPS164円 となるのでは?と思いました。

    • ゆう より:

      コメントありがとうございます。ご指摘の通りですね。簡易的に2021年2Qの当期純利益が16百万円でEPSが1.34円なので、そこから等倍して計算したはずですが間違いです。記事も修正しておきます。

  2. ヤスイノ より:

    ご返答ありがとうございます。やっぱりそうでしたか。かなり株価が下がっているので、調べ始めてるのですが、仮に5年後に当期利益20億円になったとして、現時点で時価総額400億円超(PER20倍)で、そこそこ織り込んだ評価では?と個人的には思いました。

    • ゆう より:

      そうですね。記事には将来のEPSから将来の株価の目安を書きましたが、今の株価が妥当かどうかは全くわからないというのが私の考えです。あくまで、将来EPSがこの水準になった時に、PER30倍だとこの株価という考え方だけなので。ですので、5年後の20億に対して今の株価水準がPER20倍で、ここが下値となったとしてもそれは結果でしかないと思っています。私がここを持っているのは、経営陣とビジネスのユニークさと再エネ業界への期待だけなので、バリュエーションは考えていません。
      でも、5年後にはPERが20倍まで下がる見込みだから買うとか、自分なりの基準を決めて買うことで自分なりのデータを貯めていくのはいいかもしれませんね。