【保存版】アーリーリタイア後の税金と社会保険料の最適化

FIRE

今まで、様々な角度でアーリーリタイア後の税金と社会保険料の検討をしてきました。まだまだ論点はあるかもしれませんが、今の時点でのまとめを書いてみたいと思います。

収入の分散化

ポイントは、うまく3つの主体を活用して収入の分散化をすることだと思います。

  • 個人:源泉分離課税の所得、給与所得控除の活用
  • 法人:総合課税の所得、申告分離課税の所得
  • 個人事業:クラウドワークなどの小額を稼ぐ場合
給与所得控除の活用

給与収入というのは、経費が実費で計算できない代わりに一律の給与所得控除が認められています。そのため、法人で得た所得を個人給与として支払うことで、法人では経費となり、個人では給与所得控除が活用できます。後述するように法人からの給与は、社会保険料を考えると出来るだけ少ない方がいいため、厚生年金の最低報酬月額93,000円から年1,116,000円とし、給与所得控除は550,000円となります。
配偶者は年100万円(所得35万円)とすることで、住民税非課税を維持することができます。住民税非課税の基準は、給与収入100万円以下の配偶者と子供二人家族の場合、本人の給与所得控除後の総所得が171万円となります。

源泉分離課税である配当所得と配当控除の活用

配当所得は、こんなに優遇されていていいのかと思うくらい優遇されています。以下の記事でまとめた通り、所得税は総合課税とし税額控除である配当控除を活用し、住民税は源泉分離課税を選択することができてしまい、所謂いいとこ取りができるようになっています。
なお、配偶者も配当所得のメリットを受ける場合は、所得税において本人の配偶者控除が使えなくなります。ただ、住民税は源泉分離課税を選択することで、住民税非課税は維持することができます。

法人活用(経費計上による実質税率と住民税非課税世帯メリット)

金融資産をメインの収入源とする場合、源泉分離課税か申告分離課税なので、現在の税率は20%です。一方で、法人は資本金1,000万円以下、課税所得800万円以下の小規模にしても26%くらいとなります。税率だけ見ると個人で分離課税で申告した方が得のように見えますが、以下の点から法人の活用を考えています。

  1. 申告分離課税とすると、住民税の対象となり住民税非課税世帯とならなくなる。
  2. 個人の金融課税はいつ増税となるかわからない。
  3. 法人であれば赤字が10年繰り越せる。
  4. 法人契約による社宅、出張費+日当、経営セーフティ共済、給与支払いなど経費計上ができるため、個人は金融収入100%に税率20%だが、法人は経費控除後の課税所得に税率26%となり実質税率は20%以下にできる。
個人事業主として青色申告控除の活用

最後に、もしスモールビジネスで副業的なことをする場合は、個人事業主として収入を計上することで青色申告控除の65万円を活用することができます。ただ、ここで利益を出してしまうと住民税が上がってしまうため、経費控除後の所得を65万円以内とするのがいいと思います。

収入の分散化まとめ

個人・法人・個人事業主という3つの課税主体を活用することで、以下の表のように限りなく課税を減らすことができます。今の私の見込みでは、合計収入1,020万円に対して、最終的な課税額が615千円となり税率6%くらいまで減らすことができると考えています。

社会保険料の最適化

退職後に考えなければいけない社会保険は年金と健康保険になります。日本では、法人を経由して支払う場合と個人が直接支払う場合に分かれており、それぞれ法人経由が健康保険組合(協会けんぽ)・厚生年金、個人で直接が国民健康保険・国民年金となります。

どちらがいいのかは、いままでも記事にしてきました。

健康保険

上述の通り収入の分散化をし、住民税の対象となる所得を本人112万円、配偶者100万円の給与収入だけとするのであれば、国民健康保険の5割減免に加えて、所得割額も給与所得ー33万円が基準額となるためほとんど発生しません。年間10万円程度の保険料のはずです。

一方、協会けんぽの保険料も、給与が月額9.3万円であれば年13万円程度と大きな違いはありません。

年金

国民年金とする場合は、全額免除の対象になります。ただし、上記の年金受給額の比較で計算した通り、全額免除と厚生年金の最低報酬月額9.3万円の保険料を配偶者は第3号保険者として払い続けた場合を比べると、支払った保険料は7.8年の年金受給で元が取れるということになります。

被扶養者の要件

配偶者を社会保険の被扶養者とするためには、被扶養者の年収130万円以下及び被保険者の年収の半分以下という決まりがあります。この年収には配当収入も含まれるということなので、配当収入を所得税で確定申告する場合は含まれます。また、常勤役員の場合は被扶養者になれるか未確定なところがあるため、合同会社の場合は代表社員にも業務執行社員ともせず、単なる社員とした方がいいでしょう。

健康保険と年金まとめ

年金は、生きている限り受給できる上インフレにも対応するということで、かなり優秀な金融商品だと考えています。その年金が7.8年で元が取れ、健康保険も変わらないのであれば法人で協会けんぽと厚生年金保険に加入するのがお得であるという結論です。

さらに、国民年金・国民健康保険とした場合は株式譲渡益と配当は源泉分離課税であるとしても、他の突発的な収入がある場合は、翌年の保険料に響くことからかなり気をつけなければいけません。協会けんぽと厚生年金にしておけば、給与額は自分でコントロールできますので保険料が変わることがありません。これも大きなメリットだと思っています。

総まとめ

もし上述のようにできた場合は、以下のような世帯収支となるはずです。

法人個人個人事業主
収入6,700,000円2,116,000円(給与)
3,500,000円(配当)
650,000円
経費2,116,000円(給与)
1,620,000円(社宅)
1,000,000円(共済)
161,040円(社会保険)
161,040円(社会保険)0円
税金440,000円175,000円(配当)0円
手取り1,362,960円5,279,960円650,000円

経費と税金のうち、完全に外に出て行くお金は社会保険と税金の合計937,080円であり、収入10,850,000円に対して8.6%と、社会保険と税金の合計の負担率としては最低値だと思います。ちなみにサラリーマンだと20%〜30%にもなります。

社宅の162万円は、個人に変わって法人が支払っているだけで個人の支払いが減っています。共済の100万円は預金と同様です。その他、法人でできるだけ経費計上すればその分だけ税金がやすくなるという仕組みになっています。

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