1407 ウエストHD2022年8月期第1四半期決算レビュー

個別銘柄分析

2022年8月期第1四半期業績

売上は良かったのですが利益が壊滅的で株価も暴落しました。原因は、再生可能エネルギー事業と電力事業の不振です。決算短信には電力事業の利益がダメだった理由は書いてあるのですが、再生可能エネルギー事業のことは書いていません。ちなみにセグメント別の進捗率を見てみると以下の通りとなります。売上も営利も半分を占める再生可能エネルギー事業次第で、通期業績が達成できるかどうかが決まるのが分かります。確かに電力事業はこの1Qは価格転嫁ができなかったようですが、次の四半期からは価格転嫁できる見込みのようですので、通期全体で見るとあまり影響はないように思います。

第1四半期
売上/営利
通期見込
売上
進捗率
売上/営利
2020年度通期
売上/営利/利益率
再生可能エネルギー5,270/2952,98110%34,324/4,877/14.2%
省エネルギー512/1432,15124%2,214/926/41.8%
電力8,436/7933,40025%30,209/2,762/9.1%
メンテナンス415/1101,51427%1,495/291/19.5%
合計14,523/48391,251/11,67216%/4%67,938/10,148/17.3%

さて、その再生可能エネルギー事業ですが、新規開発・中古再販・自家消費用の請負の3つで成り立っています。これらの売上利益への計上ですが、新規開発・中古再販は不動産の売買と同様で販売が成立した時に売上と利益が計上されるはずです。自家消費用の請負は、施工が進むにつれての計上だと思いますが、数ヶ月の工期のはずなのでこちらも契約して数ヶ月後に計上されるものです。

つまり、タイミング次第であり毎四半期に継続して数値が積み上がっていくものではありません。2021年8月末時点の受注残は16,161百万円と、1年前の倍の水準です。2022年第一四半期末の未成工事支出金は13,418百万円と、2021年8月末の11,863百万円から1,555百万円増加しています。つまりは、工事は消化しているけれども完工に至るものが少なく、利益の計上が遅れていることが考えられます。一方で、赤字工事が発生した場合、売上は計上されるが利益が計上されないということは起こり得ますが、今回は売上の進捗も低く途中の工事が多いことが想定できます。

受注残が低く、経営陣が期中受注を期待して強気な計画を立てていたら問題ですが、受注残から見るとそこまで強気とも思えず、この第一四半期の数値は単なるタイミングの問題だと思っています。

2022年8月期通期業績

一応、第一四半期の低業績はタイミングの問題だと思っていますが、会社発表の第2四半期業績見込みが達成できないようだと通期も危ないと思います。そういう意味では次の決算が山場だと思っています。ウエストHDは、物件売買が主力の不動産会社とゼネコンが合わさったようなビジネスなので、なだらかに数値が上がっていかないのが長期保有しにくい原因だと思います。

実際、再生可能エネルギー事業の過去の業績推移を見ると、売上は安定的に計上しているものの営業利益は1Q(9〜11月)と3Q(3〜5月)が低く、2Q(12〜2月)と4Q(6〜8月)が高い特徴があります。第二四半期の3,978百万円を達成するためには、再生可能エネルギー事業2Q単体で2,300百万円ほど必要でしょうが、2016年の2Q単体で13,444/2,122百万円、2018年は7,883/1,657百万円などの実績もあるので、そこまで無理ではないと思います。

ただ、これで2Qも未達で通期で下方修正とかになると、株価の更なる下落が待っていると思います。それは勘弁して欲しいです。ただ、同社のビジネスモデルは太陽光発電の普及の全方位をカバーしていると思っており、日本政府の2030年度の電源ミックス目標値である太陽光で14〜16%、2019年度の6.7%から2倍を考えると、マーケットに合わせて業績も伸びていくと思っています。

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