1407 ウエストHD2021年8月期第3四半期決算レビュー

個別銘柄分析

業績も好調ですが、それ以上に株価が伸びているためPERの水準は上がっています。それでも、昨年10月以降でPER25~35倍の水準に落ち着いているように思います。2021年8月期の業績の上方修正があったため、PERは28倍まで下がっており株価の伸びに比べてそこまで過熱感は感じません。四季報の2022年8月期見込みを使うとPERは26倍まで落ちます。

2021年8月期第3四半期業績

売上は物足りませんが、営業利益以下の利益の伸びは素晴らしいの一言です。

売上の減要因も、電力小売りの影響で、「新型コロナウイルス感染症に伴う生産設備の稼働低下、飲食業の営業時間短縮等の影響により前年対比で減少」が原因ということです。ただ、電力小売りの利益は前年より上がっています。これは、「電力会社や大手商社からの相対取引契約を締結し、前年度第3四半期において仕入先の見直しを行い、収益率の改善を図りました」ということで、来期以降の更なる利益率の改善は難しそうですが、電力市場に影響を受けない堅実な施策を取っていることがわかります。

さらに、「新規受注活動においては、旧一般電気事業者や競合先との競争が激化している状況下においても新規提携金融機関の増加を背景に、販売先数は前事業年度末20,149件より当第3四半期末30,172件と、順調に拡大しております。」「自社売電事業については、約65MWの既存発電所の保有に加え、2022年8月完成予定の自社保有用大型メガソーラー(60MW・FIT単価36円)の建設も順調に進行」ということで、順調な様子がうかがえます。特に、ウエストHDの強みだと思っている自治体や地方金融機関、農協との提携の効果が表れて販売先の増加が著しいほか、自社保有型も進めているということで言うことはありません。

再生可能エネルギー事業では、①メガソーラー再生事業での収益性の高い複数の物件の売却の実現②産業用太陽光発電事業での自家消費型の受注が一層増加③当社グループが太陽光発電による電力の買取を行う新しい仕組み(ウエストFIT)を活用したグリーン電力事業対応型モデルの展開など、正に時流を捉えた施策を実行しており、こちらも素晴らしいの一言です。国のFITに頼ったメガソーラーが終わりとなっても、次の試みがうまくいっていると思います。

省エネルギー事業は、自治体向けに蓄電池付き太陽光発電所を設置し、発電した電力を自家消費用に販売する新規事業(PPA事業)を開始が気になっています。政府の方針として太陽光発電をさらに広げていく方策の一つとして、官公庁での積極的な導入があります。この流れを取り込めるのではないかと思っています。

メンテナンス事業は、メガソーラー再生事業開始に伴い、購入したメガソーラーのメンテナンスを随時当社グループに切り替えて販売するシナジー効果ということで、卒FITを逆にチャンスに変えていることがわかります。契約総数も順調に伸びています。今期は営業利益が大幅減ですが、グループ内組織改正による人件費増ということなので、内部の管理会計による増であり全体には影響ないことがわかります。

2021年8月期第3四半期単独の業績

2Qからはあまり増えていませんが、ここは季節性があり1Q~3Qは横ばいで4Qにまとめて利益が上がります。前年同期比でみると順調であり、問題ないと言えます。

2021年8月期業績見込み

上方修正が発表され、利益は20%強の増益でした。また、減収の理由も、電力事業においての新型コロナウィルス感染症の影響による電力使用量の減少再生可能エネルギー事業においてのメガソーラー販売の来年度への一部ずれ込みと、産業用太陽光の補助金認可時期による売上計上の来年度へのずれ込みということで、コロナ影響及び期ずれと事業には問題がないことがわかります。

むしろ、コロナの影響と期ずれがあっても、メガソーラー開発販売、再生メガソーラー販売が想定を上回る利益省エネルギー事業及びメンテナンス事業が堅調で増益と、期ずれがなかったらどんな凄い利益になっていたんだという感じです。

また、期ずれがあるということは、来期の売上利益がある程度見込めるということで、来期業績にはプラスに働きます。

同社は配当にも積極的ですので増配も期待したいところです。

コメント