8771 イーギャランティ2022年度3月期第1四半期決算レビュー

個別銘柄分析

2022年3月期第1四半期業績

四半期単独で見ても素晴らしい数値です。

また、7月5日のFISCOによる江藤社長へのインタビュー記事を読むと、新しいサービスが次々に出てくるようで、業績見込みやPER水準も過去からは判断できないのではと期待が持てます。インタビューで出てきた面白そうなトピックを抜き出してみます。

  • 年間30万件の企業の審査依頼、累計14万超えの信用保証をし、220万社を超える信用情報データを持つことから、日本経済の先行き、トレンドを占うことができます。
  • ワクチン接種が進むとはいえ、我々のところに集まっているデータを分析すれば、不透明な経済環境の中、現状では倒産件数の増加が見込まれます。リーマンショックの時のように、倒産件数が急激に増加して、また戻るような形ではなく、長期間にわたり倒産企業の増加が続くイメージをしています。
  • であれば、保証料率も低下しにくいと想定しています。今後も、保証ニーズの高まりを背景とし、保証残高の積み上がり、保証料率も高止まりが予想されます。
  • 今まで、保証事業を行ってきた強みがあり、リスク取れない部分に入り込む事を得意として、新しい金融分野にも事業展開しています。具体的な導入事例としては、給与立替払いサービスを展開しているフィンテックベンチャー企業において、給与立替分の未回収リスクに対して保証していくサービスを提供しています。

7月6日に東海東京調査センターが投資判断を「アウトパフォーム」(強気)から「ニュートラル」(中立)に、目標株価を2900円から2300円に、それぞれ引き下げています。理由としては、リスクオフの状況になってきたため適用PERを40倍として通期見込みEPS52.48円に掛けた数値とのことです。ただ、上記のインタビューを読んでいると、保証料率は高止まりということで、会社の見立てとは違うことがわかります。

2022年3月期業績見込み

対通期の進捗率をみると、25%弱と過去3年の実績を下回っていますが、もともと上半期は抑え目で下半期により伸びる予想となっているので会社の想定通りとはいえそうです。

7月6日にFISCOのResearch Memoがリリースされており、2022年3月期の重点施作がまとめられています。1番目の販売体制強化は短期的な施作としてすぐに数値に結びついていきそうです。2番のminimalについても、すぐに業績に反映できそうです。一番ワクワクするのは、ビックデータの活用です。具体例として一つだけ、ECのマーケティング支援とありますが、同社の膨大な取引情報は企業の信用調査にも活用できるでしょうし様々な活用方法が想定されます。かなり、期待をしています。

販売体制強化としては、同社が得意な提携で攻めるということでこちらも期待できそうです。もともと、地方金融機関との提携が多かったと思いますが、大都市圏を攻めるということで証券会社や都市部の信用金庫との提携が進んでいるようでこちらも手堅い攻め方と言えます。

  1. 顧客層拡大のための販売体制強化
    • 営業人員は前期末の約60名から1.5倍増となる90~100名体制にする予定。
    • 大都市圏を始めとした新たな顧客紹介チャネルでの提携を推進し、従来アプローチできていなかった顧客層へのサービス浸透に取り組んでいく。特に、証券会社や都市部の信用金庫などを中心に提携先を広げていく方針。
  2. 周辺分野の事業展開
    • オンライン完結型の小口債権保証サービス「minimal」について、正式にサービス提供を開始。ターゲット顧客は中小企業や個人事業主となり、Webマーケティングのほか提携先の金融機関等を通じてサービス告知を行い、顧客を獲得していく。
    • フィンテック企業との連携も進めている。インターネット系のファクタリングサービス事業者向けに保証サービスを提供したり、OEMで売掛債権保証サービスの提供を行ったりしている。
  3. 取引情報を中心としたビッグデータの活用
    • 月間で2.5~3万社の企業調査、取引情報や支払情報などの各種データを、1日当たり約50万項目を登録しているが、顧客数の拡大によって1日当たり260万項目以上に増やしていく。
    • これら収集したデータを企業審査で用いる統計データとして活用していくほか、前述したように周辺分野での新規サービスに活用していく戦略となっている。
    • 保証履行請負を数多くこなすことによって、個別商品等の取引先情報を収集、ビッグデータ分析を行うことで、将来的にEC分野における仕入・販売の効率化を実現するマーケティング支援サービスなど、新規サービスに展開していく構想。

中期見通し

同社は、中期の経営数値目標として、連結経常利益50億円をターゲットとしているようです。これは今の1.5倍の水準であり、そのままEPSに当てはめると80円程度になります。東海東京調査センターの低い方のPER40倍をつかうと3,200円くらいの株価は1.4倍くらいが目処となります。

達成可能性としては、2022年3月期以降15%以上の成長が続けば2024年3月期にも達成できる見通しであり、現状の事業だけでも達成可能な水準である上、新規サービスが軌道に乗ってきたらさらなる上積みもある気がしています。

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