2393 日本ケアサプライ2022年度3月期第3四半期決算レビュー

個別銘柄分析

2022年3月期第3四半期業績

業績の見た目はあまり良くありませんが、予定通りです。通期比の進捗率は、売上76%、営業利益72%と計画通りとなっています。昨年比で増収減益ですが、減益の要因を見てみると粗利益率は悪化(40.1%→38.5%)、一般管理費率も悪化(26.4%→28.0%)し、その結果、営業利益率が13.7%から10.5%に悪化しています。決算短信によると、レンタル資産増加に伴う減価償却費の増加、物流費の増加、人件費と新規拠点開設費用の増加とあります。同社は、レンタル資産が増加するフェーズはどうしてもコストが先行する性質であり売上が伸びているので、心配していません。

四半期毎の業績を見ても、売上は対前四半期ベースで増収を続けており、営業利益も今年に入ってからは伸び続けています。需要は増える一方だと思いますので、このままのペースで伸びて行ってほしいと思います。

2022年3月期業績見込み

通期見込みは計画通りの状況ですが、増配がありました。EPS106円に対して60円なので、配当性向56%と少し高めですが現金は余っているのでいいアナウンスです。同社は親会社である三菱グループに短期貸付金で26.5億の貸付をするなど、現金の使い道という点で少数株主を無視した経営を続けてきました。それが、昨年の綜合警備保障が第2位株主になった影響か短期貸付金が10億に減り、今回増配となりました。さらに、中経の中で来年から2025年までは利益に関わらず70円とするとの発表もありました。明らかに、現金の使い道について議論があったことを思わせる方針転換です。

株主としてはM&Aなどで小規模な介護用品レンタル事業者を買収することで業績を加速させることができるのであればそちらの方がいいのですが、自前で広げていくのも変わらないのであれば株主還元をしてくれた方が好ましいということになります。何処かの国のトップの株主軽視の姿勢に真っ向から反対する素晴らしい決定です。会社の所有者は株主であるという資本主義の仕組みを理解して欲しいものです。

2023年3月期~2025年3月期までの3か年中期経営計画

非常に微妙な中期経営計画が発表となりました。数値は最低限で成長率も3年で20%程度と普通に経営していれば達成できそうな数値です。施策の方も、第二の収益の柱として物販や宅食を育てる以外は何の具体性もありません。ここまで中身スカスカの計画を発表するのも珍しいと思うんですよね。綜合警備保障の方には、ぜひ次の3年間でここら辺も変えて頂きたいものです。

なお余談ですが、三菱商事の子会社である建機レンタルのレンタルのニッケンに携わっていた元三菱商事の方と話をする機会がありました。曰く、レンタル事業を知らない三菱商事からの出向者が経営陣のためレンタル資産への投資などに保守的な判断しかできず、同業他社は買収などで業容を拡大させたがレンタルのニッケンは先細っていくばかりでいつの間にか業界最下位となってしまったということでした。他の同業は、同族企業や専業の上場企業などレンタルの専門家が経営をしています。

日本ケアサプライも同じような雰囲気を感じるので、ぜひ綜合警備保障が入ることでこのぬるま湯の環境をどうにかして欲しいものです。

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