持ち株の一つである日本エム・ディ・エムの2021年3月期本決算および中期経営計画がリリースされましたのでレビューしてみたいと思います。
2021年3月期業績
コロナの影響で人工関節置換手術が延期・中止になったことから、昨年比で減収減益という業績になっています。
日本(昨年比) | 米国(昨年比) | |
売上 | 111億(+1.3%) | 93億(▲11.5%) |
営業利益 | 13.9億(+18.2%) | 8.3億(▲40.3%) |
アイテム別も地域別も、日本は健闘していますが米国がひどい状況です。ただ、コロナで手術が延期になったせいという理由ははっきりしています。むしろこの状況下でも、そこまで落ちないということで売るどころか下がったら買い増しをしたいと思っています。
2022年3月期の計画
売上利益見込み
2021年度に比べると、すごくいい数値を出してきたように思えますが、2019年度に比べるとまだ低い数値です。全面的に回復はしないという見込みなので、この数値だと思いますが、上方修正もあるのではないかと思っています。
2022年3月期の業績を考えるうえで、一番の問題はコロナがいつ収まるのかです。もちろん誰にもわからないのですが、米国はワクチンの接種が進んでおり、既にレストランなどは人手が戻ってきています。ワクチン接種のデータで見ても夏ごろには、かなり広範囲で正常化するのではと期待をしています。決算短信の中でも来期見込みの説明に、米国は下半期から回復する前提で計画をしていると書かれています。
配当見込み
配当見込みは安定の1円増配です。業績に関わらず過去5年ほど1円増配を続けており、率にすると9%の増配です。配当性向を30%くらいまで上げてほしい気もしますが、増配を続けてくれるので文句はありません。
中期経営計画
今回、2024年3月期までの3年間の中期経営計画が発表され、その中で中国・オーストラリアなどの新規進出計画にも言及されていますので見てみたいと思います。
各市場の現状
日本
超高齢化社会を迎える日本市場は、2040年に向けて団塊ジュニア世代が65歳以上となり高齢者人口がピークを迎えます。さらにQuality of Life向上ニーズの高まりなどで、症例数の増加は見込めますが、社会保障関係費の抑制は不可避であることから診療報酬改定による償還価格のマイナス改定など厳しい市場環境が継続するとしています。
米国
2030年に65歳以上の高齢者人口は7千万人程度になると見込まれています。日本のピークは2040年と見込まれていますが、ピーク時でも4,000万人とやはり市場規模が違います。さらに、肥満による人工関節が必要な患者数も増加していることから、世界最大の人工関節市場であり続けることは間違いありません。
中国
2025年までに60歳以上の高齢者人口が3億人を超えると言われており、人工関節市場も拡大を続けると思われます。ただ、中国政府の国産品推奨から外国企業が単独でビジネスを行うのは厳しい環境です。
オーストラリア
治療に対する先進的ソリューションニーズが高く、治療成績重視で参入障壁が高い。保険償還価格も高い設定になっていることから、豪州市場での製品の使用は製品の安全性・有効性のエビデンスとなることが期待されている。
具体的な施策
これらの市場環境から会社が発表している施策は次の4点です。
- 海外ビジネスの拡大
- 開発調達力の強化
- 人材・組織の専門性の強化
- デジタル化の推進
特に海外ビジネスにおいては、中国の現地企業「常州华森医疗器械有限公司」との合弁企業が米国子会社の製品を輸入販売すると同時に、現地生産品の製造・販売開始を目指すということで、高齢者人口3億人の巨大市場への参入が期待できます。
2024年3月期の数値ですら、2019年3月期から比べると、売上22%、営業利益32%、当期純利益6%増とあまり急激な成長とはいえず、日本市場と米国市場だけで達成可能な数字ではと思っています。中国市場にうまく参入できれば、業績も株価も何倍にもなってくれると思っています。
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