アーリーリタイア後の住むところの検討

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アーリーリタイア後は大都市ではなく、生活の利便性は捨てずにだけど自然もある地方都市に住みたいと思っています。どの地方都市がいいかを決める時に大きな要因となるのが、住居と子供の教育です。住居は、賃貸で割り切るのであればそんなに問題はないかもしれませんが、自分好みの家を買いたいという場合は資産性の維持が気になります。

子供の教育面は、やはり上を目指せる環境は提供して選択肢は多くしたいという希望があり、進学先の高校の大学進学先が気になります。ということで、データを集めてみました。

『日本の地域別将来推計人口』(平成30(2018)年推計)

長期的に家の資産性を考えるのであれば、人口が増えている地域を最低限選ぶ必要があります。国立社会保障・人口問題研究所(厚生労働省に所属する国立の研究機関)というところが、2018年に日本の地域別将来推計人口を公表しています。これは2015年の国勢調査を基に推計した日本の将来人口をベースに市区町村別の推計を行い、その結果を合計して都道府県別の人口を得たものです。

2045年までの5年刻みで、1県(福島県)および1,798市区町村(東京23区(特別区)および12政令指定都市※の128区と、この他の766市、713町、168村)がカバーされており、将来の人口の変動を地域別に見ることができるとても参考になる資料です。

2045年に2015年比で人口が増加する地域

2045年に2015年比で人口が増加する市区町村は129あります。この中から一定規模以上ということで、50,000人以上に限定すると、98となります。

その中からいわゆる大都市圏の東京都、神奈川県、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市、また、個人的に地方都市ではない茨城県、千葉県、埼玉県を除くと、33になります。

この33地域は以下の通りです。それぞれ2015年と2045年の人口数と2015年の人口を100としたときの指数もあります。

都道府県市区町村2015年2045年2015年2045年
北海道札幌市 中央区237,627261,704100.0110.1
宮城県富谷市51,59156,822100.0110.1
石川県野々市市55,09960,880100.0110.5
岐阜県瑞穂市54,35455,602100.0102.3
愛知県刈谷市149,765151,521100.0101.2
愛知県安城市184,140187,017100.0101.6
愛知県常滑市56,54759,790100.0105.7
愛知県東海市111,944115,612100.0103.3
愛知県知立市70,50171,942100.0102.0
愛知県高浜市46,23651,926100.0112.3
愛知県日進市87,97794,113100.0107.0
愛知県長久手市57,59870,660100.0122.7
滋賀県草津市137,247145,814100.0106.2
滋賀県守山市79,85984,160100.0105.4
滋賀県栗東市66,74970,518100.0105.6
京都府京田辺市70,83573,274100.0103.4
広島県広島市 中区136,640145,321100.0106.4
広島県広島市 安佐南区242,512247,484100.0102.1
福岡県福岡市 東区306,015335,063100.0109.5
福岡県福岡市 博多区228,441256,088100.0112.1
福岡県福岡市 中央区192,688220,257100.0114.3
福岡県福岡市 南区255,797259,285100.0101.4
福岡県福岡市 西区206,868233,329100.0112.8
福岡県福岡市 早良区217,877221,684100.0101.7
福岡県大野城市99,525106,289100.0106.8
福岡県粕屋町45,36054,631100.0120.4
佐賀県鳥栖市72,90274,538100.0102.2
熊本県合志市58,37066,136100.0113.3
沖縄県宜野湾市96,243102,606100.0106.6
沖縄県浦添市114,232117,418100.0102.8
沖縄県沖縄市139,279148,791100.0106.8
沖縄県豊見城市61,11969,660100.0114.0

この中でいわゆる県庁所在地を見てみると、札幌市、広島市、福岡市のみとなります。その他の県をざっと見てみると、いわゆる県庁所在地のベットタウンとなっているところが多いみたいです。

全国公立高校「国公立大学合格力」ランキング・ベスト40

子供の教育環境を考える時に、小学生まではあまり気にする必要はないと思っていますが、問題は高校となります。余程、本人に自覚がない限りは周りに流されるもので、高校の進学実績以上の結果は望めないでしょう。そういう点で、進学実績がいい高校に行けば選択肢が増えると思っています。

地方都市となると首都圏のように私立高校の選択肢がほとんどないため、公立高校となります。各県のトップの公立高校は、どの県でもそれなりの実績がありますが問題は2番手以下だと思っています。トップの公立高校に入らないとダメという環境ではなく、トップ3くらいに入れば十分な進学実績があるくらいの方が親としても安心できます。

ざっくりですが、各県の公立高校のレベルを測るのにちょうどいいデータとしてダイヤモンドオンラインで全国公立高校「国公立大学合格力」ランキング・ベスト40という記事がありました。算出方法は、「国公立100大学」ごとに、主に河合塾による偏差値(ボーダーランク)を参照して算出した難度を、各高校の合格人数にかけて加重平均した合計を2020年卒業生数で除した指数、ということで国公立大学合格数の単純な足し算ではないところが面白いと思っています。

このベスト40に入っている高校を県ごとに集計したのが以下の表になります。

高校数都道府県名
4富山県(富山8、富山中部15、砺波17、高岡37)
3大阪府(天王寺2、北野6、茨木14)
北海道(札幌北3、札幌南5、札幌西39)
兵庫県(姫路西4、長田19、神戸28)
愛知県(明和12、一宮22、岡崎27、旭丘31)
2熊本県(熊本12、済々黌39)
広島県(広島28、基町32)
福岡県(明善34、筑紫丘39)
1京都府1、福井県7、長崎県9、奈良県10、石川県11、香川県16、宮城県18、
山口県20、滋賀県20、大分県23、佐賀県24、岐阜県25、岡山県26、島根県30、
栃木県33、長野県35、東京都35、新潟県37、茨城県39

なお、県の並び順は、最初にあるほど同じ数の中でランキングが高い高校が存在するということです。例えば、高校数が3の都道府県の中では、大阪府の天王寺高校が2位、北海道の札幌北高校が3位、兵庫県の姫路西高校が4位、愛知県の明和高校が12位のため、この並び順となっています。

なお、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県などの首都圏が少ないのは、早慶などの難関私立大学の選択肢が簡単に取れるため、国公立大学の割合で測ると低くなるということです。

将来人口推計と公立高校の国公立大学合格力ランキングから見えてくるもの

さて、この二つを掛け合わせると、札幌市中央区が第1候補ということになります。とくに、公立高校を詳細に見ると、福岡県の明善高校は久留米市、筑紫丘高校は福岡市内にあり、福岡市からは通うことができるのは実質1校だけです。広島県も広島高校は、東広島市にある中高一貫校であり高校受験という意味では対象外です。一方で、札幌の3校はいずれも札幌市内にある公立高校であり、さらにランキング外とはいえ札幌東高校や札幌旭丘高校もそれなりの進学実績を誇ります。

なお、富山県は公立高校のレベルはすごく高いのですがが通学の可能性を考えると、同地域の富山と富山中部、砺波市の砺波、高岡市の高岡と3つに分かれるので、札幌のようにこの4つ全てが検討対象になるということはなさそうです。そういう意味で、札幌の状況はかなり稀有なことだと思います。

このことからも、県庁所在地で2045年に人口が増えており、進学実績のいい複数の公立高校の選択肢がある場所とすると、札幌市中央区が唯一の候補ということがわかります。

札幌市中央区となると一軒家というよりマンションが候補となりますが、首都圏と比べると安い値段で広いマンションを購入することができます。北海道は移住先の土地としても食べ物や自然など魅力的であり、子供が小さい間に自分たちにあった家を買いたい場合は、札幌はいいのではないでしょうか。

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