マネックス証券の銘柄スカウターの自分的使い方

投資戦略

日本株の投資先を探す時、あまりスクリーニングは使いません。むしろ、ニュースや他の方の保有銘柄で気になった銘柄を自分なりに調べてみるということが多いです。今回は、気になる銘柄が見つかった後の、詳細調査の方法をまとめてみたいと思います。

株価のバリュエーション

1番最初に株価の割安度を確認します。そもそもここがあまりに割高であれば購入には至らないためです。株価の割安度を見る指標としては色々ありますが、私はPERの過去推移を使います。

PERは有名な指標ですが、株価÷一株当たり利益で計算されます。PERを使うメリットは、株価や利益の絶対額に関係なく比較ができることです。注意点としては、一般的には15倍以下がいいなどと言われますが、その企業の成長性や同業他社の水準などで変わるため、一概に○○倍以下が割安とは言い切れません。同業他社のPERと比較するというのも一つの方法ですが、完全に同じ事業を行っている同業他社を見つけるのは難しく比較として適切なのかもわかりません。

そこで、同じ会社の過去のPERと比べることで、過去の株式市場での評価に比べて現在がどのような立ち位置なのかを見ることができます。

マネックス証券の銘柄スカウターでは、過去5年間のPER推移をみることができます。この銘柄は、16年末に大幅なPERの切り上げがあり、その後は12~8倍の間で上下していることがわかると思います。今のPERを見てみると9.6倍となっており、レンジの下限に近い水準となっています。実際に投資をしたのは、3,775円で8.9倍なのでほぼ下限と言っていいでしょう。

この判断の仕方は、EPSが緩やかでも成長し続ける会社の場合は有効だと思いますが、利益が減少しEPSが減ることがあれば株価が動かなくてもPERは高くなってしまうので注意が必要です。この過去のPERレンジの下限で買うメリットは、EPSが下がらない限りは株価の下値として機能する可能性が高いということです。

業績の確認

株価が買える水準であることを確認したら、業績を確認します。業績を確認する際は、以下の点を見ていきます。

  • 売上と営業利益が右肩上がりとなっているか
  • 前四半期同期比でプラスを維持しているか
  • 営業利益率は売上の伸びに応じて上がっているか
  • カテゴリー毎の業績を確認し、伸びている事業とそうでない事業を理解する
過去の売上と営業利益

なんだかんだ言って、売上と利益が右肩上がりの会社は将来の業績においても信用がおけます。株価を考える上では過去の業績は関係なく、未来の業績が上がっていくかどうかが重要なのですが、その未来の業績を考えるうえで過去の業績を確認するわけです。

ですので、本来であればこのようにすでに右肩上がりが長い間続いている会社より、今後右肩上がりが期待できる会社を買った方がいいわけです。この会社で言うならば2015年頃に投資したい感じです。そのころの株価は2000円なので、買値から考える現在のPERは4.7倍と超割安株になります。

ただ、事業内容からして、大きく崩れるような内容ではないという判断のもと、この傾向は続くのではないかと判断して購入しています。

前四半期同期比の業績を確認する

一つ前の年単位の業績の確認が大きな流れを確認する作業だとしたら、四半期業績は直近のミクロな視点で見る作業です。

大抵の事業には季節性があるため、四半期でも右肩上がりというのはなかなかありません。そのため、前年同期比でみることが多いです。この会社は、営業利益で2018年3月期に前年同期比でマイナスが続きましたが、売上は常にプラスを維持しています。このような傾向に早期に気が付くことができれば、年単位で見ると右肩上がりの初期のころに投資をすることができます。

営業利益率の伸びに注目する

営業利益額ではなく率で見ることのメリットは、規模の経済が働くビジネスなのかどうか、経営の効率性が上がっているのかがわかることです。売上を上げるためには、その分人を雇わなければいけないとか、工場を増設しなければいけないとなると、売上に対して一定のコストがかかりますので、どれだけ売上が増えて営業利益額が増えても率は変わりません。

一方で、原材料などの一定の原価はかかるものの、売上を伸ばすのに営業や開発人材を増やす必要がないとか工場のキャパシティも気にしなくていいというビジネスの場合は、営業利益の伸びが売上の伸びを上回り、営業利益率が向上します。

この会社は、そこまで極端なビジネスモデルではないですが、緩やかに営業利益率が改善していっていることがわかります。

カテゴリー毎の業績を確認する

大抵の会社は関連する様々な製品を売っています。そこで、製品の特長毎にカテゴリー分けをして情報を開示していることがほとんどです。そして、同じ会社の中でも成長はしないけど安定したビジネスや今は小規模だけど高い成長率で伸びているビジネスが混在しています。

成長率が高く継続しそうなビジネスを小さいうちから見つけて保有することも重要な戦略の一つとなります。そして、マネックス証券の銘柄スカウターでは、このカテゴリー毎の業績はうまくデータを取得できていません。というのも、銘柄スカウターはあくまで決算短信で正式にカテゴリー分けをしていないとデータを取得できないからのようです。

ですが、実際は決算説明資料などで詳細にカテゴリー毎の業績を発表している会社が多くあります。私は、これらの情報を拾って自作のエクセルで四半期ごとに見れるようにしています。

コンセンサス予想を確認する

コンセンサス予想というのは証券会社のアナリストが会社の業績予想を公表している場合のその数値のことです。ですので、アナリストがカバーしないような時価総額が小さな会社ではない場合もあります。

一般的に、コンセンサス予想に届かない場合は株価は売られ、上回る場合は買われることが多いため、決算数値が発表されたらコンセンサス予想と比べることが重要になります。さらに、将来の予想に対する比較が重要となります。例えば、2021年3月期決算発表時には、2022年3月期の業績予想が併せて発表されます。この場合は、2021年3月期の数値がコンセンサスに届いていたかどうかはあまり関係なく、2022年3月期の予想数値がコンセンサスと比較して高いか低いかで、株価は動きます。

例として二つの会社を上げました。上段の会社は、2021年3月期のコンセンサス予想は会社発表値を下回っており、2022年3月期のコンセンサス予想も高いとはいえません。さらに、2021年2月にコンセンサスは下がっていますが、第三四半期決算を受けてコンセンサスが下がったことがわかります。一方で、下の会社は2021年3月期のコンセンサスは会社予想より3億程度も高く、2022年3月期のコンセンサスもさらに高い数値となっています。

どちらも3月期決算の会社ですが、上の会社は決算と来期見込みが多少悪くてもあまり下がらず、むしろ良ければかなり上がると考えられます。一方、下の会社は、余程いい来期見込みを出さないと株価は下がってしまうと思います。

数年単位の長期保有目的で買う場合は、直近の決算に一喜一憂する必要はないのですが、あまりに期待値が高い会社を買うと一時的に苦しい株価の時期をともにすることになる可能性が高くなります。

あまり見ない項目

私があまり気にしない項目としては、BSとCFがあります。もともと、好業績の会社のみをターゲットにしているためBSやCFが悪い会社がいないというのが本当のところですが、見るとしても自己資本比率くらいでしょう。株価を形成するうえであまり関係のない項目だと思っています。

結論

過去の業績やセグメント業績を確認するのは、いい会社かどうかを判断するのに使うのであって、その企業を買うのかどうかの判断には使いません。というのも、いい会社であっても市場の評価が高ければ、それ以上は株価は上がらない可能性があるからです。

ですので、その会社を購入するかどうかの直接的な判断としては、過去のPER推移で判断しているということになります。過去のPER推移で判断すると、株価が右肩上がりであっても利益が同じだけ伸びていればPERは変わらないため、株価の絶対水準に関係なく購入判断を下すことができます。株価が右肩上がりの場合は、買うことをためらうことが多いのですがこの方法で判断するようになってからは、いい結果が出ています。

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