6078 バリューHRの2021年12月期第2四半期決算レビュー

バリューHR 個別銘柄分析

決算説明資料が公開されているため、全面的に書き直しました。(2021年8月29日)

2021年12月期第2四半期業績

第2四半期までの実績の比較をみると第1四半期がよかったため、悪くない決算でした。ただ、後述しますが第2四半期単独でみるとそこまでいい決算とはいえません。期末配当の増額が記念配当という形でありました。悪くないですが、2022年度も最低でもこの配当額を維持してほしいと思います。

さて、決算発表に合わせて「第三者割当による自己株式の処分に関するお知らせ」という開示がありました。自己株式100,000株を1株1円で、社長であり創業者が代表を務める公益財団法人バリューHR健康寿命延伸財団に第三者割当をするというものです。要は、時価1.7億円の株式を10万円で譲渡するというものです。

譲渡の理由としては、「本財団は、当社株式の配当等を活動原資として、健康寿命延伸に関する助成事業や給付事業等の公益活動を今後も継続的に実施していく予定であります。この公益活動は当社の事業
観点からも当社の企業価値向上に資する」とありますが、上場会社としてこれはどうなんでしょう。

創業者が寄付をして財団を作るのは勝手ですが、僅かとはいえ0.82%の希薄化という既存株主に不利になる形でまで当財団を作るメリットがわかりません。10月に臨時株主総会を開いて決議するとあり、同社の株主構成は、創業者系で25.55%であり持合い株もあまりないように思います。私も反対に入れるつもりですが、一般株主から反対の決議にならないのかと思っています。

2021年12月期第2四半期単独の業績

第2四半期単独で見るとあまりいい数値とは言えませんでした。ただ、当社は1Qと4Qがよくて2Qと3Qは若干数値が落ちる傾向があるので、そこまで悪いとも言い切れません。一般管理費が増えていますが、新事業用ビルへの移転費用ということで一応一過性の費用みたいですが、減価償却費も増えると思うので来季以降も注意してみたいと思っています。

バリューカフェテリア事業

検診受診者数は前年比で見ると凄い数値ですが、前年の4,5,6月は38.7%,23.4%,78.4%と壊滅的だったので、19年比でみると97%,98%,128%となります。契約団体数は順調に伸びており、今年度はすでに56団体の獲得のようです。2020年度中の内定案件が19件あったはずなのですが、それを除いても35件と順調に見えます。ただ、肝心のユーザー数が昨年末の255団体で155万人から増えていません。団体数が増えたのにユーザー数が増えない点が不安材料となります。

売上面では、特定保健指導が2倍くらいの成長率で伸びています。VC事業の売上に占める割合がわかりませんが、このような便利なサービスからの囲い込みというのは期待できます。コロナワクチンの職域接種事業も行っており7月は1.5万人の実績ということです。第3四半期から売上に計上されるとのことで、こちらもしばらくは続くのではないでしょうか。さらに、9月からはオンライン診療もサービスが開始されます。主に既存利用者向けを対象にして、健康診断後の再検査などのケースを想定しているということで一定の利用が最初から見込めそうです。

コスト面では、検診結果入力代行業務へのAI-OCRの導入により2倍の生産性向上を目指していました。この稼働が遅れていましたが6月から全体の40%に対して導入を開始したということで、第3四半期以降の営業利益率の向上に期待が持てます。

HRマネジメント事業

2020年5月から2021年7月1日までの健康保険組合の新規設立が日本全国で9件あり、そのうちの4件が当社によるものだったとのことです。大体50%のシェア通りというところでしょう。また、運営代行などの契約組合数は2021年1月から6月までで、人材派遣2組合、BPO1組合、バリューカフェテリア事業3組合の増となっています。こちらは、緩やかに増加する感じですが、増加件数を見ると新規設立支援をした組合がそのまま顧客になっている感じで、既存健康保険組合から新規で獲得しているように見えません。既存組合が増えてくるとさらに面白いのですが。

2021年12月期業績予想

健康診断が1Qと4Qに多いことから、2Qが一番売上が少ないという季節性があります。1Qと3Qが同じくらいで4Qが一番健康診断が多いということで、通期業績見込みに対する進捗が若干ビハインド(売上48%、営業利益45%)ですが、そこまで心配は不要かなと思います。バリューカフェテリア事業でAI-OCRによる生産性向上が達成できたら、もう少し利益率は上がらないのかと妄想もしてしまいます。

また、今後の展開として手薄であった関西(顧客の9%)と中部(顧客の4%)を攻めるために、大阪支社の営業増員の増加、愛知県への営業拠点の新設をした上で、関東よりも多いと思われる中小企業向けにパッケージサービス(VCバリューパック)をを提供するようです。正直中身をみると従来のサービスそのままではと思うのですが、大企業相手のオーダーメイドではなくサービス内容を固定することで、中小企業向けに販売導入をしやすくしたものだと信じたいです。

健康経営優良法人の認定を取得する企業は大企業のみならず、中小企業でも増え続けているようです。同社のサービスは、国策である健康経営の推進に合致するサービスであり、健康関連の唯一の国策銘柄だと思っているので気長に保有をしていきたいと思っています。

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