日経新聞で「増配ドミノが始まった コロナ下の新たな還元有望株は」という記事を読みました。
企業に余剰キャッシュが貯まって、株主還元に動きつつあるという記事ですがそんなポジティブな話ではないと思っています。最近では、特に海運株の配当利回りの上昇が取り上げられています。確かに、日本郵船8.71%、商船三井7.53%とすごい配当利回りです。これが続くのであれば。
商船三井の2001年からの配当金と株価を見てみると、状況がわかると思います。
商船三井の配当は図では2020年となっていますが、2021年3月期が150円で、2022年3月期が150円から550円に修正されました。
言わずもがなですが、商船三井は典型的なシクリカル銘柄となります。つまり、景気が良くなるタイミングで業績が向上しそれに伴って配当金も増額する。一方で、景気が悪くなると一気に業績も悪くなり配当金が減額される。
2022年度の配当金が550円となり、まさにリーマンショック前の2007年の状況を見ているようです。当時は株価も急上昇を続け、20,000円くらいを頂点としてあとは下がり続けるだけでした。こういう株は、業績の底で買って、業績がよくなったら売るというのが正解になります。つまり、PERは高い時、配当利回りは低い時に買って、PERが下がったら、配当利回りが上がったら売るのですね。
ということで、これらは増配ドミノなどではなく、単純にシクリカルサイクルの末期が近づいているシグナルなのではないかと思っています。
なお、日経新聞は同じ記事で増配ブルーチップ銘柄を抽出しています。その条件が、「過去5年間で3回以上増配していて、かつ減配実績がない」や「予想配当利回りが3%以上ある」、「今期も増配予想」などであり商船三井も選ばれています。ですが、上の配当実績を2001年から見るととてもブルーチップなどとは呼べないことが一目瞭然です。抽出条件の一つである5年間で減配実績がないというのは、増配ブルーチップと呼ぶにはあまりにもひどい条件です。
このような記事に踊らされて、増配銘柄と信じて海運銘柄などのシクリカル銘柄に自分の大事な財産を掛ける人が出てこないことを祈ります。
むしろ、私は後2年くらいでの株式からの一時的な撤退も視野に入れるべきではないかと思い始めました。ただ、長期で継続成長が見込まれる銘柄のバイ&ホールドが私の基本方針なので非常に困ります。
コメント